「どんな素材が来ても、良い料理にする。」人材紹介の常識?知らん(笑)濱詰善徳(株式会社オーシャン・代表取締役)〜事業成功ストーリー

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安定的に成果を挙げるエージェントは、どんなことを心がけているのか? 本連載では、立ち上げ期の成功・失敗事例を交えながら事業を前進させる秘訣を伺います。

第1回となる今回は、株式会社オーシャン代表取締役・濱詰(はまづめ)善徳氏にご登場いただきます。

今年4月に開催したCrowd Agent Partner Awards 2019では、「年間でもっとも成約を生み出したコンサルタント」としてThe Best Consultant of the Year 2019を受賞。その秘訣は、「本音に迫ること」にありました。

今は、聞かれない限り案件紹介しません。

――最初に、濱詰さんが考える現在の人材業界の課題を教えてください。

濱詰 承知しました、まずは人材紹介業のアウトラインについてお話します。

実は、人材紹介って現状は強い企業しか使ってないんですね。求職者は多くの人がエントリーするものの、企業側は儲かっている強い企業のみが対象になります。
なので、紹介会社を使って入社する人は全体の3パーセントくらいです。残りはハローワークだったり求人媒体だったりで、規模感としては小さいんですね。

弊社のやりたいことは、その割合を増やし、人のハッピーを生み出すこと。何をもってハッピーなのかは人によって分かれます、年収だったり成長だったり働き方だったり。何をもってやりがいを見出すか、そのお手伝いをするのが私たちの仕事です。

今、人材紹介会社は「人と企業を繋ぐこと」を仕事にしています。でも、繋ぐことってデジタルでほとんどできるんです。だからこそ、デジタルで効率化しながら、アナログの部分で付加価値をあげていかないと、紹介会社はなくなってしまいます。

また、近い将来には、デジタルでもしっかりと付加価値を出せるようになるので、より良いチャネル選びが大切になってくるのかと思っています。

転職によって、今以上に活躍できる人を増やしていく。全員ハッピーになれば、国全体のチカラも上がる。その原動力になれる仕事だと思っています。

――なるほど。

濱詰 ハッピーの源泉って、個人によって異なりますよね。偉くなりたい、褒められたい、いろいろ。

でも紹介会社を評価する際に使われる指標って、年収がほとんどです。「この紹介会社に行くと、年収が上がる」「年収が上がる会社を紹介してくれる」となっているのが実情です。

弊社も最初、いい紹介会社と思われたくて「年収を上げたいなら、ここを受けなよ」と思っていました。それがブランドになる、良いことだと思っていたんです。

でも、たくさん失敗しました。ある時点で、「何がハッピーなんて、十人十色じゃないか」と気づいて。そこから、面談のやり方も変わりました。

昔は面談で半分求職者の話を聞いて、半分は案件紹介をしていました。でも、今は聞かれない限りは案件を教えていません。

――ドンピシャの案件しか紹介しないと。

濱詰 そうです。皆さん、最初は服を着込んでるんです。「年収が上がらない」「上のポジションが詰まってる」「上司の頭が固い」、いろいろ言うんですが、その服を脱いでもらわないとわからないと思うようになりました。

そうしたら、弊社からの内定承諾者は、何なら年収が半減しても行くようになったんです。

――すごい。

濱詰 「年収下がるけどいい?」って聞いたらすごく楽しそうに「行きます!」って。

年収も上げてあげたいんですけど、それ以上に大事なのは入社後に活躍すること。実際、入社後に「現状報告がてら、ランチでも行きましょうよ」って誘われることが多くなったんです。

「うちの会社、見に来てください。いろいろ見せたいものがあるんです」って。ありがたいことですよね、きっと何かが心にヒットしたんだなと思ってます。

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辞める理由の半分は、ホンネではないんです

濱詰 昔は求人企業が好むであろう学歴・職歴を持ったピカピカの人材などに、ついつい多くのスカウトを送っていた時期もありました。ただ、最近は、そういう方々だけに興味を持つってことがなくなったんですよね。

以前、自分のフィルターを通さず、職種や年収などでのマッチングのみで、「こんな案件ありますよ」ってメールを一斉に送ったことがあって。みなさんから返信をいただいたんですが、「実はもう決まりました」っていう人もいっぱいいたんです。

正直「えっ、この人決まったの?」みたいな人も。そこから学びましたね、自分は浅いところしか見ていなかったんだと。求職者と求人企業の価値観が一致すれば、転職するチャンスはあるんだと。

言い方は悪いですが、今はもう「どんな素材が来ても、良い料理にする」と思うようになっています。年収よりも、やりがいを意気に感じて入社承諾する人が出てきて、弊社の成約件数もぐっと増えてきました。

人が辞めるときに口にする理由って、半分はホンネではないんです。「会社の社風が・・」「業績が・・」とか、建前的なものになってしまいがちです。

でも、本当はそれぞれにモチベーションの源泉があって、自分の満足度をあげたいんです。例えば、「仕事を任せて欲しい」とか、「おもしろいことやりたい」とか、そんなことだと思うんです。

本当にやりたいことじゃなくて、なんとなくやってきて、過去のキャリアからこれをやるしかなくなった。でも、本当はそんなことやりたくない。「なら、少し給料が下がっても、こちらの仕事のほうがいいでしょ?」って話ができるようになりましたね。

実際、そういう話になれば本人もイキイキとしてきます。そういう形で、結果的にチャンスが増えてきてるのかなと思います。 

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既存の人は、マッチするまで息長くお付き合い。

――見極めには、深掘りすることが大事ですね。

濱詰 そうですね。ただ正直に言うと、時間の掛け方と深掘りの深度は一致しないと思っています。

面談のやり方は、いろいろ変えてきています。ホンネではない退職理由を聞いてもしょうがないので。

効率的にいろいろな人と会いたいので、直接会うよりまず電話で聞くとか。その上で、候補者が、より深い話がしたいとか、応募企業の詳細を知りたいという場合は、直接会って説明します。

「この企業は面接の時にこのポイントを見る、こういう軸を持ってる人が好き」とか。価値観がズレたら面接に行ってもつらいし、入っても活躍できないんですよね。そこは力点を置いています。

とはいえ、数も追いたいですから。その際は既存の人たちというか、昔面談した人たちをとことん追いかけたりしてます。

――昔面談した方で、まだ転職が決まっていない方ってことですね。

濱詰 そうです。うちのターゲットは経営・管理部門が多いんですが、割と年収が高めなので。となると、すぐにドンピシャの案件があるわけではないので、継続したサポートが必要になります。

マッチするまで息長くお付き合い、が大事です。つい最近入社した人は2年くらいお付き合いをしていますよ。

もっとも、既存の人たち全員に電話するとかは効率的ではないので、デジタルチャネルを使って効率よくタッチしていっています。

あと、デジタルにマッチングをする以外は、必要以上にお送りする案件の絞込みはしないようにしています。

面談当初は「この人ってこんな人だよね」と思ってても、1年も経つと環境などが変わっていますから。できる限り色んな企業をみてもらいたいなという感じで送っています。

――1回面談された方や接点があったりした方は、基本的にずっとやり取りをされ続けているんですか?

濱詰 そうですね、「転職活動が終わりました」って言われるまでやってます。

――すごい。「持ち玉が無くなった」とあわてて連絡する人はよくいるんですけど、根気強くずっと連絡し続ける人ってあまりいないですよ。

濱詰 やっぱり長くサポートしていきたいですね。何なら、その方のキャリアパスの一場面ではなく、一緒に人生におけるキャリアパスを作っていけたらと思っています。

もしかすると、私が企業の人事部門に長くいたので、そんな気持ちになるのかもしれません。

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「本当のところ、どうなの?」と聞くこと。

――案件を紹介する際に、フィルターを通し絞り込むとチャンスを逸する部分がある一方、そうは言っても合わない人もいると思います。どういう部分で見極めを行なっているのですか?

濱詰 職種、会社の規模感に加え、その人の価値観を理解することですね。データを残しているので、そこを参考にします。

――最初の面談や電話で、相当精度の高い情報が取れているということですね?

濱詰 はい。他の紹介会社さんが「こういう会社が良いですよ」って言ってる時間に「どんな会社だったら活躍できますか?」と掘り下げていきます。

働き方や成長って、会社の規模感や成長のステージによってある程度分類できると思います。そこがズレていたらキツイですよね。

――やはり、最初に高精度の情報を取れるかがカギなんですね。

濱詰 そうですね。その人の本質を聞けるかどうか。

――何か、コツはあるんですか?

濱詰 遠慮せずに聞くことですね。「上司が」「給料が上がらない」は建前の部分も大きいので。「本当のところ、どうなの?」と。

面接では言っちゃダメだとは思いますけど、こっちには言ってほしいんです。そうしないと、心からフィットする会社を間違えちゃいますから。

――職種は違いますけど、弁護士さんを想像しました。被告にウソをつかれたり、情報を隠されたりすると弁護にならないですよね。

濱詰 人事は、本質を聞きたがっていると思うんです。そこが合っていたら、活躍してくれそうだなって想像できると思うので。素を出して、落ちたら残念で良いと思います。

対策して受からせたいと思う気持ちも、あるんです。けど、それは本人の将来に良くなくて。曲げてまで受からせるのかっていう話もあるので。まあ、曲げても受かってほしいなとは思ったりすることもありますけど(笑)。

――面接対策はあまりされないんですか?

濱詰 対策はします。「この会社はこういうポイントでこういう見方をしてきます」とか。

例えば、終身雇用を前提としていたような古い会社だったら、「長く勤めてほしい」というのが面接での配点の高さだと思っていて。

逆にベンチャー、メガベンチャーだったりすると、「長く勤めてほしい」というよりも、「今どのくらい活躍できるか」の目線が強いとか。

ギャップがあるとしても、何を重視して評価する企業かはっきり伝えます。中途の面接ってお互い様だと思ってるので、そのギャップが実際にどの程度なのか、面接で、直接確認してもらうのがいいんじゃないかと考えています。

いろんな要素のバランスもあると思いますが、それで合わなければしょうがない。受かってほしい気持ちもありますけど、半年経って「転職に失敗しました」なんて言われると意味がないので。

そこのマッチングは、私たちがプロであるべきだと思っているので、本当に良い転職をしてもらいたい。短期的なお金も大事だけど、プロに会えて良かったなと思ってもらえる方が嬉しいですね。 

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「それは、彼の心の声だよな」と思って。

濱詰 昔、経理をやっていた50歳過ぎの方が面談に来たんです。「今、仕事がないので介護の資格を取った。働き口を探したい」と言って。

その時点で、200社くらい落ちていたんです。でも結果として、介護系の仕事を2社紹介して2社とも受かったんですよ。

――200社受けたのもすごいですが、それを全部落ちた人を受からせた濱詰さんもすごい。

濱詰 何とか受かってもらいたい、と思ったので。一緒に面接に行って、面接前には面接練習をガッツリやって。

彼も本気なので、いろいろ調べてくるんですよ。「絶対に読んでないでしょ」みたいな量のパンフレットを取り寄せたり(笑)。そういうところに、私は心を打たれていたんでしょうね。


それで2社受かって、「おめでとうございます、どちらに行きますか?」みたいな話をバスに乗ってる時に言ったら、「……やっぱり経理がしたいんです」って。

――えええ! 200社落ちた後に受かった2社を、やっぱり蹴ると?

濱詰 でも「それは、彼の心の声だよな」と思って。「どこでもいい。経理でチャンスある会社を、お願いします!」って言われて。1社だけ、教育系の企業なんですけど経理で受かりました。私も大泣きですよ(笑)。

本人も50歳過ぎて、久々の経理の仕事。年収は決して高くないですけど、一番記憶に残ってるケースですね。「この人の人生は、救われたんだな」って。その後、2回くらい飲みに誘われましたよ。友達かっていう(笑)。

――前にインタビューした人もおっしゃってましたね、入社した後の方とは友達になるって。

濱詰 だんだん、そうなるんですよね。電話での会話から、次第に親しくなって。きっと、会話のどこかで彼の芯を食ったんだろうなと。人材紹介会社と思わず「濱詰さん」と思っていただいている、とても良かったなと思います。

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なりたい自分になるためのナビゲーションは、必要です 

――最後に、今後の事業展望やメッセージなどがあればお願いします。

濱詰 紹介会社の領域って、変わっていくと思っています。 

昔は会社の人事がキャリアを考えてくれましたが、今は、自分でキャリアを作る時代になっています。でもハッキリ言って、みんな自分でキャリアを作るのは難しいと思うんですよね。

失礼な言い方かもしれないですけど、本当になりたい自分になるためのナビゲーションって必要だと思っているんです。

紹介会社は、そこのプロになるべきだと思っています。人材紹介会社を使ってる3パーセントの人だけがそういうサービスを受けれられるんじゃなく、デジタル形式でも教室などでもいいですけど、似たような人たちを集めてナビゲートしたいと思っています。

よく使うフレーズとしては、「民間のハローワーク」ですね。全ての人をサポートできるチャネルをそろえていきたいです。

デジタルでも、付加価値を出していくことは可能だと思います。ただ、現状では、アナログでしか出来ないこともあります。

例えば、いわゆるエグゼクティブ層の人たちほどジョブディスクリプションがないんですよね。そこのフワッとしている部分についてなどは、アナログの方が圧倒的に強いですね。

デジタル・アナログでのいろいろなチャネルにチャレンジしながら、多くの人のハッピーをサポートしていく。そういう民間のハローワークに近い立ち位置で、領域を広げていきたいと思っています。

――興味深いお話を、ありがとうございました。

 

ライター:澤山大輔

 


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