「求職者の要望が、『本当にやりたいこと』とは限らない」糸岡樹慧(株式会社ファンオブライフ)〜事業成功ストーリー前編

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安定的に成果を挙げるエージェントは、どんなことを心がけているのか?「事業成功ストーリー」第2回は、株式会社ファンオブライフ糸岡 樹慧 氏にご登場いただきます。

 

今年4月に開催したCrowd Agent Partner Awards 2019では、Professional部門で「Award of Excellence」を受賞。プロフェッショナルになるまでの、立ち上げ期の成功・失敗事例について伺いました。

寄り添うのではなく「併走する」。

――本日はよろしくお願いします。糸岡さんはマッチング率がすごく高く、この1年で書類通過数が一番多かったと伺っています。寄り添うべきに寄り添い、突き放すべきに突き放す。この見極めがしっかりされているということなんですね。

 

糸岡 そうですね……個人的には「寄り添い」ってあんまり好きじゃなくて。最近、弊社に新入社員が入ったのですが、寄り添いになりがちで。いろいろ世話を焼いてしまうのですが、「それは仕事じゃないな」と思ってるんですね。

どっちかと言うと「併走する」って言い方が近いですね。必要だったら引っ張っていく。そうじゃないと、うまくいくものもうまくいかないな、と最近すごく思っています。

 

――求職者の方は、若手の方が多いですか? 

 

糸岡 20代が一番多いですが、30代の方も結構います。40代はさすがに少なくなり、50代以降はいないですね。

 

――そういう人にも、しっかり指摘するというか。

 

糸岡 そうですね、普通に怒ったりもしますし、「何考えているんですか?」とかお伝えすることもありますよ(笑)。

 

――いい意味でしっかり指摘して、キャリアを立て直すお手伝いをする、というところでしょうか。

 

糸岡 そうですね。ご自身がやるべきことは、やっていただかないと。究極、「転職活動は、僕たちのことではないですよ」と。求職者の方の人生の話ですから。

 

――貴社はお金がもらえないくらいだけど、「あなたの人生がかかっているんだから」ということですよね。

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ルーツは教育業界に

――改めて貴社の強み、取り組んでいる領域について教えていただければと思います。

 

糸岡 弊社は業界特化型で、現在は教育・人材・IT領域を中心にやっております。職種はそこまで区切ってはいなくて、幅広くやっていますね。20代から30代くらいをメインでやっています。

自社でも、転職サイト「 Education Career」を運営していますし、あとは求職者向けの求人サイトからスカウトを送っています。

 

――代表の佐久間さんがリクルート出身、糸岡さんが学研のご出身なんですね。 

 

糸岡 正確には「学研グループ」ですね。学研と言うと「カッコつけてんな、あいつ」ってなるので(笑)。

 

――(笑)そうした出自も、貴社が教育業界に強い理由の一つなのでしょうか? 

 

糸岡 そうですね、それはあると思います。もともと代表の佐久間がリクルートに在籍している時に、ビジネスとしての教育の広がりに関心があって、ニュースメディアを自分で作って運営をしていたんです。

そこから「これからは教育領域をやろう」ということで教育の方に行って事業開発をやり始めたというバックグラウンドが佐久間にはあるんですね。

僕も前職が教育関連の企業で、7年くらい勤めていたのですが、教育業界って「何をやっているのかよくわからない」と結構言われるんですね。教育業に携わっていた身として、実体験を持って事業内容や業務内容を理解できているのが、この業界での成約率の高さに繋がっている一端なのかな、とは思っています。

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数をこなそうと、月5万通(!)のスカウトを送った日々

 

――立ち上げから、佐久間さんと一緒にやられたんですか? 

 

糸岡 立ち上げは佐久間だけですね。2015年創業で、サービスを始めたのがその年の10月くらい。

僕はたまたま2015年12月に教育系の勉強会をやった時、友人が佐久間を連れてきたんですよ。それで話をしたら、「リクルートを辞めて、教育に特化したエージェントを始めました」と。

もともと転職エージェントに興味があって、アシストも受けたりしていたので意気投合しました。ただ、正直どうなるかもわからないので、「一旦前職も続けながら、空いた時間で手伝わせてくれ」と。

前職は教育関係なので、13時からの出勤だったんですね。なので午前中にファンオブライフに来て、13時から前職の仕事をやって、という形でした。そこから次の社員が入るまでは、僕と佐久間の二人でした。

 

――そして、フルコミットされたのが2016年11月。最初に成約された方は、どんな方でしたか? 

 

糸岡 最初は、バイクの買取販売での成約でした。確か九州で、電話面談をしましたね。正直うちの強みとか言っていた事は全く関係ないです。

佐久間も、リクルート出身とはいえ人材紹介の経験はないんですよ。僕も佐久間も素人だったんですね。ただ、ビジネスモデル上、最初の面談から内定承諾までどういうファネルになるかはわかりきっているので。効率を上げるって言っても、何も分からない時に効率は上げられない。なのでまずは「面談数をこなそう」という話になって。

とにかく行動量を増やそうと、当時は尋常でなく面談をやっていました。集客力もなかったので、当時は月5万通もスカウトを送っていましたね。

 

――5万通! ちょっと想像できないですね(苦笑)。

 

糸岡 返信率はすごく低かったですけど、返信の来た人にガンガン電話をかけて。僕も当時は他の仕事をやりながらだったので、面談に充てられる時間が限られていたこともあり。30分おきに電話面談を組んでいました。結果、月100件とか面談をやっている時期がありました。大いなる失敗でしたね。

 

――やはり、成約に繋がらなかったと。 

 

糸岡 繋がらないです。知識もない状態で数をこなそうとすると、「良さそうなことは何でもやる」になってたんですよね。例えば「良さそうな求人が出たぞ」っていったら、とりあえずスカウトメールをバーッと出す。強みも何も考えていないので、それしか紹介できないんですね。

 

一つの工数で2件も3件も紹介できないのと、電話の短い時間だけだと個別の理解も進まず、行動数は増えてもなかなか書類選考に通らない。通っても面接に通らない、やっとの思いで内定が出ても応募者の方はそちらに行かない。悪循環でした。

 

――なるほど。

 

糸岡 フルコミットした後もしばらくそういう期間があって、面談数を増やすために夜の10時に面談をやったりしたんですよ。でも、全然良くならなくて。ビジネスとしてこれでいいのか? と思っていましたし、何より全然楽しくない。

今では笑い話ですけど、当時はかなりしんどかったですね。

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求職者の要望が、「本当にやりたいこと」とは限らない

 

――そこから、どうやって良い方向にむかったのでしょう? 

 

糸岡 当時は「このままいってもダメだ」と思って。具体的な数字をもう一度見直していきました。そして「夜7時半以降の面談はしない」などの行動指針を作っていきました。

よく考えれば、忙しくて夜10時以降にしか面談できない人って企業面接にも行けないわけですよね。

 

――間違いないですね。

 

糸岡 実際、夜の10時から面談をした人で、成約に繋がった人もいませんでした。それで、やらないことを決めていったんです。これは大きな学びでしたね。たくさん数をこなしたからこそ、やらないことを決められた。

その後は、相手に合わせすぎないことにしました。遅い時間に面談はやらない、比較的近所の方はなるべく来社していただく、面談の枠は完全に決めて効率的にスケジュールを組む、あとはできる限りレジュメを事前に用意してもらう。

最初は「ここまでやったら、誰も来なくなるんじゃないか」と不安でした。でも、考えたらこれぐらいのことを嫌がる人って、そもそも本気で転職する気がないんですよね。

 

――なるほど。

 

糸岡 例えば、良い求人が出ても、弊社にメリットがないなと思ったら取り扱わないということも決めています。そういうふうに一つ一つ決めていったら、いろいろな数字が徐々に良くなってきました。

 

――さまざまな手ごたえを感じてこられたと思うんですけど、印象に残っている求職者はどんな方でしたか? 

 

糸岡 面談を通じて「どういう仕事をやりたいか」とヒアリングして支援をした方で、結局他社の転職エージェント経由で内定が決まった方がいたんですが、内定先を聞いたらヒアリング内容と全く違う業界なんですね。

それを経験してから、要望を聞く意味ってあまりないなと思ったんですね。それよりも、転職理由のほうが大事だなと。

 

――話は聞いても、そこに固執しないほうがいいと。その人が本当にやりたいことは、意外と本人もわからないものですよね。

 

糸岡 はい、マーケティングでもあると思うんですけど、「何がほしいですか」と聞かれて出てくるものが本当にほしいものではない、とか。

 

――おっしゃる通りですね。馬車が中心の頃の顧客にヒアリングしても、「より速い馬がほしい」しか出てこない。自動車という概念がない以上は。

 

糸岡 そうなんですよね。転職相談をしている方って、日常的にキャリアについて考えている方ばかりではありません。いきなり面談で「将来何をしたいですか?」って聞かれても、思いつきの答えでしかないんですよね。

転職活動というのは、転職理由をいかにクリアにするかが絶対条件だと思います。「これは絶対にクリアしましょう」という条件のすり合わせと、要望として一応聞くぐらいの条件とを切り分ける。あとは「キャリアアップにはこちらも良い」と思ったら別ルートを提案する。そうしないと、エージェントの価値はないのかなと思います。

 

後編に続く

 

ライター:澤山大輔

 



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