わたしが新幹線で必ず「B席」に座るワケ。森本千賀子(株式会社morich)〜人材紹介ノウハウセミナー前編

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有料職業紹介事業者数は、年々増加。今や2万事業所を突破し、その数はセブンイレブンと並ぶほどになっています。それだけ人材紹介業に新規参入している中、われわれ中小の紹介会社が求職者に選ばれるエージェントになるには、どうするべきなのでしょうか?

転職エージェントの先駆けであり、業界をリードし続ける存在である森本千賀子さん(株式会社morich)に、今回は面談から決定までの「求職者の対応のノウハウ」について、お話を伺いました。

本記事は、申し込み開始わずか数時間で満席となった大好評のセミナーのレポートです。 

友人を紹介しよう、と思ってもらえるかどうか。

森本 今日は、転職エージェント価値の中で大事にすべき「求職者との対応」のところで、私自身がどんなことを意識してやってきたか、ケーススタディとしてお話できればと思います。

これが全てじゃないと思います。ターゲットの違い、エグゼクティブからジュニアクラスまで、どのエリアで、など多様なケースがあります。マインドセットの点で、すべてに通じる私が大事にしてきたことを共有できたらと思っています。

先週は広島に行ったり大阪に行ったりと、新幹線に乗る機会がとても多かったのですが。私は、新幹線に乗るときの座席を必ず決めています。それは、「3人掛けのB席に座る」ということです。A・B・C席と三席ありますよね? その中で、通路側でも窓側でもなく、真ん中のB席です。

A席の人とC席の人は結構驚かれるんですよ。「なんでこんなに空いているのに、わざわざB席に座るの?」と。

なぜかというと、必ず両隣誰かしらがいらっしゃるので、そこで仲良くなるんですね。結果として、過去にも新幹線での出会いから、転職の斡旋をさせていただいた方もいました。中には、私の友人と結婚したケースもあったりします。

それぐらい、みなさんも常に誰かしらと出会っているんです。この仕事は、日常がそのまま仕事にフィードバックされます。組織に所属されてエージェントをされている方もいると思いますが、組織対個人での付き合いじゃなくて、個人対個人なんですよ。組織の前に個人としてのご縁や接点を意識して、とにかく目の前の方が組織を超えて信頼できる人なのかどうか。

初めてお会いする方に、自分のことを洗いざらいお話するわけじゃないですか。家族構成だったり、今の年収が幾らかだったりを会った瞬間に初対面の相手に話すわけです。信頼できる相手でなければ当然そういう個人情報は開示できないですよね。「信頼できる人かどうか」ということが大前提だということを意識しています。

その上で私がこだわってきたのは、先入観を持たないということ。当然、長く続けられたらいろんなケーススタディが溜まっていきます。特に成功体験を積むことになるので、この仕事においては、先入観がものすごくバイアスになるんですよね。

「こういうバックグラウンドの方はこうに違いない」とか、「こんな案件出したらなんでって思われるかもしれない」とか、変な先入観とか固定概念が邪魔してまっさらな提案ができないんです。だから私は、できるだけ、先入観は排除して持たないようにしています。

目の前にいる人が、「モリチさんに、知人、先輩や後輩を紹介しよう」と最終的に思ってもらえるかどうか。それを、私の中の信用だと捉えています。

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まずは、共通点を探してください。

求職者とのやり取りで大事にしているのは、事前の準備ですね。転職活動をしている方は、忙しい方がほとんどですから、2時間も3時間もずっとヒアリングをさせていただくことはできません。1時間を、いかに有効なものにするか。

となると、事前に把握できることは把握しておくことが大事です。今日は何を期待されているのか、温度感は人それぞれ。「すぐにでも転職したい」「もう内定はもらっているけど悩んでいる」「1年ぐらいかけて次の場所を探そうかな」などなど、温度感をきちんと理解した上で、転職のスタンスを事前に理解しておくことが大事です。

そのための場づくりも大事です。良かったらうちのオフィスに来ていただけたらと思っているんですけど、結構こだわって場づくりをさせてもらっています。他人に1時間で自分のことを話せる場に持っていくために、場づくりが大事です。「心理的安全性」ってチーム作りとかチームビルディングで言われますけど、いかに心理的に安全な場になっているかですね。

まず、エージェント自身がものすごく緊張した面持ちで対面したら、相手も緊張されます。なので私は、求職者の緊張を解くところから始めます。うちのオフィスは、スリッパで上がってきていただきます。靴を脱ぐ行為は解放感に繋がる、というのは心理学的にも言われていることなんですね。

あとは、面談テーブル。真四角じゃないちょっと歪んだ台形のテーブルにしているのですが、それって心理的に安全なテーブルなんです。要は真正面に向き合わないようにしています。真正面に向き合うと、敵対関係が生まれるんですね。それを避けるために、少し斜めにテーブルを配置したり。それぐらい、場づくりには気を使っています。

「この場所、居心地良いな」「いつのまにか解放させられてる」、そういう場づくりが大事だと思っています。求職者が転職エージェントと面談に向かう時って、なんとなく“先生”に会いに行く気持ちで来られる方って多いんですよ。そうじゃないんです、私はみなさんの面接官でもジャッジでもない、応援団なんですと。なんでも話してOKなんです、という関係づくりを最初の5分から10分で作れるか。ここが大事です。

そのために、まずは求職者との共通点を探してください。共通点が見つかると、途端に親近感が生まれます。事前に履歴書やレジュメを見るときには、「いかに共通点があるか」を探します。私、実はラグビー部のマネージャーやってたんです・・・など、そういった自分の得意なジャンルから共通点を探すとかですね。

転職エージェントにとって大事なことは、好奇心なんです。好奇心を持って、幅広くどんなジャンルにも対話できるようになる。そういう人は、心理的安全な空間づくりにおいても大事なことだと思います。目の前の求職者のことをとにかく“知ること”。このことに尽きるのです。

これまでの再現だけでなく、別の道はないか?

もし自分が求職者だったら、と考えてください。

エージェントの方を目の前にすると、どうしても高評価してもらいたくなりますよね。どうしてもポジティブな情報、こんなこともできる、こんなこともやってきた、こんな成功体験を持っている…という情報を伝えたくなります。

履歴書も職務経歴書も大体そうです。ポジティブな情報が盛り込まれます。それらはもちろん大事。ですけど、私はネガティブな情報も大事だと思っています。苦手なこと、弱点を丸裸で共有していただくからこそ、最適な案件が提案できると思っています。

私は、いつも「私を通じて決定していただくことが目的じゃない」と言っています。そもそも、10分で面談が終わることはないですよね、どんな人であったとしても。会った時に、瞬時に残念ながらご支援ができないなと感じることも、全くないわけではないです。ただ、それでも10分で終わることはないはずですよね。最低でも30分~1時間、なんらかの形で話しますよね。

それなら、1時間なら1時間気持ちよく過ごしていただく。「会ってよかった」と思っていただく。私を通じてのご提案は難しいなと思ったら、途中から「どうやったらより良いところに転職できるか」、そんな気持ちで接するようにしています。そうすると、狙ってるわけじゃなくても、別の求職者の紹介が次から次へとやってくるんです。

1人の求職者の方は、面談終了後に面談での体験をだいたい4、5人に対して何らかの話をする傾向があります。「このエージェントは良い人だった/ダメだった」とか、「とても親切だった/全く話を聞いてもらえなかった」などなど。どちらの評判をつくりたいですか?ぜひ、エージェントの皆さんにはそれを良い評判にできるように意識していただければと思います。

例えば、求職者とはメールでやりとりするのが、在籍している人材紹介会社としてのルールかもしれませんが、伴走するためには「タイムリー」にやり取りをするのがが大事なんですね。だから、私はその場で「メッセンジャーで繋がって良いですか」「LINEで繋がって良いですか」と尋ねます。その場限りの、求職者と転職エージェントとしてではなく、その方と一生のお付き合いになったら良いなと思っています。

多くの転職エージェントの方の傾向は、この求職者はどういうことができるか、どういうことを経験して来られたか、ここに注力してヒアリングをすることが多いように思います。ですが、私が大事にしてきたのは、それ以上に「Will」です。これからどうありたいか。やりたいことはなにか?キャリアゴールはどういう状態か。もしゴールまで見えてないなら、何年先でもいいのでどうなっていたいか。

その姿になるために、どういう選択肢があるか。Willを聞くことによって、山の登り方は一つじゃなく、幾つも選択肢があると感じています。これまでの経験を繰り返し再現していくキャリアだけじゃなく、それ以外に選択肢がないかを一緒に見つけるのが、とても大事かなと思います。

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面接に同席すると、真実が見えてきます

私が20代の頃はインターネットがなかったので、ホームページにある基本的な情報だけでもすごくありがたがられました。

今は、そんな情報は探せば出てきます。だから、私はこんなことにこだわっていたりします。一つは、経営陣のプロフィール情報。面接をご案内するときには、選考に進む会社の経営陣はどういうプロフィールなのかを、お伝えするようにしています。それから、組織構成。組織図を求人企業側にヒアリングをして、しっかりお伝えすることを意識してきました。

もう一つは、ワークスタイルです。現在は正社員、契約社員、業務委託などワークスタイルは多種多様です。メリット、デメリットをちゃんと整理し、選択肢を増やすことが重要です。

個人事業主になることでどういうメリット/デメリットがあるか、税金がどれぐらい還付されるのか。若い人でも、正社員だけじゃなく起業するとかフリーランスでも良いとか。一社にフルコミットじゃなく2、3社掛け持ちという選択肢を持ちながら転職活動をされる方も増えました。

正社員だけじゃなく、多様な雇用形態を選択肢としてご提案することも大事かなと思います。

例えば、CXO案件でいきなりCXOとしてアサインするのではなく、顧問として入社していただく。そういう道筋はありませんか、と確認しながら提案をしています。

それから、私自身がこだわっているのは面接同席です。やったことがないエージェントの方がいらっしゃったら、ぜひやっていただきたいです。お客様の本質的なニーズが見えます。「聞いていたニーズと全然違う」ということは、大いにあります。

具体的に今回の案件の採用背景はこう、こんなことを期待している、という目の前の求職者の方に話を伺うと真実が見えます。

人事の方とのやり取りだけだと、真のニーズが見えてこない。かといって、決裁者のヒアリングをお願いしてもなかなかアポイントが取れない。そういう時は、面接同席をさせていただく。この切り札を出していただきたいなと思います。

もう1つ、求職者の方は私たちに見せる顔と面接で見せる顔が違うケースが結構多いです。流暢にコミュニケーション取る方が、なかなか面接に通過できず内定が獲得できないということが結構あるんですよ。同席してみると、よくわかります。それがわかっていれば、求人企業側にできれば堅苦しい応接室じゃなく、リラックスした場所での面接が可能かなどの依頼ができます。

新卒じゃなくて中途採用なので、いかに求職者の方にリラックスしていただき、その人の本質を企業に理解をしていただくか。その上で合否を決めていただくのが重要だと、私自身は思っています。

私自身、20数年のエージェント人生において面接同席は何より大事にしてきました。当初はオブザーバーとして横で聞いていただけの存在が、今では面談自体をナビゲートしたりファシリテートしたりすることもあります。小慣れた面接官ばかりではないですし、面接慣れした求職者ばかりでもありません。チグハグな面接が実際非常に多いんですよ。そこを間に入って、本当にお互いが伝えたいことが伝わるようにナビゲートしていく。そんなこともテクニックとして必要だったりするのかなと思います。

 

後編に続く
ライター:澤山大輔

 

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