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エン・ジャパンの決算資料からわかる、新型コロナウイルスの影響と対策

エン・ジャパンの決算資料からわかる、新型コロナウイルスの影響と対策ゴールデンウィークが明けた5月第3週は、上場企業の決算発表が相次ぎ、すでに全上場企業の約半分の決算発表が行われました。会計期間の関係で、新型コロナウイルスの影響を受けた月は2020年3月のみではありますが、上場する人材業界でコロナ禍が経営にどのように影響したかを人材紹介応援研究所で読み解いていきます。

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ブログ執筆時点(5月14日)での、人材業界の上場企業のうち、3月を含む決算発表をした企業は、上記のようなものがあります(日付は決算発表日)。決算発表の中で、新型コロナウイルスの影響をしっかりまとめている企業は限定的ですが、今回はその中でも非常に丁寧にコロナ対策をまとめているエン・ジャパンさんの決算資料をひもといていきます。

エン・ジャパン株式会社の決算発表資料(PDF)はこちら

なおここでは人材紹介事業や「新型コロナウイルスの影響や対策」に特化してまとめており、会社全体の業績等に関して言及するものではありません。

決算発表のエグゼクティブサマリ

決算発表のエグゼクティブサマリ

2020年3月期決算においてのコロナ禍での営業は2020年3月のみのため、業績影響は限定的としていますが、リーマンショック時の経験をしっかり踏まえ、2021 年3月期に関しては、第一四半期(4〜6月)では売上-27%、営業利益においては前年比-96%を予測しています。ただし、最近の証券会社のレポートにもあるとおり二番底も囁かれている中、「中期経営計画」は算定困難として一旦取り下げています。

 

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2021年3月期予測詳細としては、第1四半期は営業利益は前年2,892百万円から実に-95.1%となる143百万円としています。ただし、リーマンショック時においてもリストラを実行しつつも黒字を維持してきた経験がある同社ならば業界全体が苦しくなる4-6月においても黒字を維持することを強く期待されます。

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前年比と比較し、売上減の影響を大きく受けるのは「国内求人サイト」の売上であり、前年比-44%と予測しています。一方で、人材紹介事業においては前年比で-10%の売上減と予測しています。前期通期で118億円まで売上を伸ばした国内人材紹介事業が-10%程度の影響と見込んでいるのは、この事業が非常に強い収益基盤となっていることを感じました。

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コスト削減としては全体で-9%としつつも、広告費においてはドラスティックに一気に-52%まで下げています。売り手市場から買い手市場にトレンドが変わり、一人当たりの求職者集客コストが安くなること、求人企業の採用意欲が一時的に減退することを見込んで、そのトレンドに合わせたコスト調整としてとても学びある数字です。

第二四半期(7-9月)では、「業務委託等の変動費」に対してさらなるコスト削減を実施することが明記されています。これは、契約期間を踏まえて、現時点で継続中の契約を終了とする判断を行っているものも含まれていると考えられます。

これらのドラスティックな削減を実行できるのは、やはりリーマンショック時の経験があるからこその経営判断でしょう。

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この規模の企業でも、迅速に在宅勤務ならびにセキュリティ対策や必要機器の付与など行っており、オンライン商談システムも積極活用しているとのことなので、リモートワークにおける営業活動への悪影響はほぼないと感じました。

5月11日には電話営業を可視化するAI搭載型クラウドIP電話「MiiTel(以下、ミーテル)にも出資を発表しており、非常にスピーディにコロナ禍に対応することへの強い意思を感じます。

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今後の予測においては、長期収束と短期収束を見据えており、採用需要の急回復のみならず、長期停滞双方に対応できる体制づくりという万全な対策をしていることに企業としての力強さを感じますね。

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まとめ

まとめ

2008月9月のリーマンショック時には、売上が200億円から100億円まで下がるなか、リストラも断行したエン・ジャパンですが、現時点で内部留保は月商の6ヶ月分となる300億円を確保しています。ベース事業のみならず海外事業、HRTech事業、投資事業等様々なポートフォリオ構築していながら、広告費や変動費削減に着手しており、その他同業の決算発表資料と比較しても、覚悟を持って明確な対策を進めていることを感じました。こういった大手人材会社の決算資料からたくさんのことを学び、業界全体でこのコロナショックを乗り切るためにも今後も継続的に参考にしていきましょう!

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