人材派遣会社の起業に必要な資本金と厚生労働省の許可を徹底解説

人材派遣会社の起業に必要な資本金と厚生労働省の許可を徹底解説

人材派遣会社の資本金について詳しく知ろう

人材派遣会社の資本金について詳しく知ろう

人材派遣会社の設立には、厚生労働省の許可が必要です。事業立ち上げのハードルはほかの人材ビジネスに比べて高く、クリアしなければならない要件も多数あります。

その許可要件の一つに資本金がありますが、起業前に用意しておかなければならない資本金の額は、非常に高額です。事前準備をしたのに資本金が貯まらず、会社設立のスケジュールが狂うといったことがないよう注意しましょう。

この記事では、人材派遣会社設立の許可要件である資本金について徹底解説します。また、資本金以外の許可要件や助成金、同じ人材ビジネスである人材紹介会社の資本金についても紹介します。

人材派遣会社設立に必要な資本金とは

人材派遣会社設立に必要な資本金とは

資本金とは、企業が会社を運営するための準備資金のことです。ここでは人材派遣の許可要件である、資本金の条件を解説します。

人材派遣業の許可要件の1つ

2006年の新会社法で、最低資本金額が撤廃されました。そのため、一般的には1円からでも会社を設立することが可能です。しかし、人材派遣業の設立には最低2,000万円の資本金が必要です。

財産基準が設置されている理由は、2つあります。1つは派遣先へ安定した労働力を提供するため、もう1つは派遣労働者へ滞りなく給与が支払われるためです。

資本金が高額であるというハードルの高さにより、起業の難易度はほかの業態に比べて高いといえるでしょう。

資本金には3つの規定が定められている

人材派遣事業を立ち上げる際の許可要件について、原則的な財産基準は次の3点です。

  • 資産の総額から負債の総額を控除した額が2,000万円以上(※1)
  • 基準資産額が負債の7分の1以上
  • 現金・預金が1,500万円以上あること(※2)

※1:事業所が複数の場合、2,000万円×事業所数 ※2:事業所が複数の場合は1,500万円×事業所数

資産の総額には、繰延資産や営業権は含みません。2,000万円について、会社設立時には貸借対照表に負債の記述がないため、人材派遣会社設立の届出時に関しては、〔資産の総額から負債の総額を控除した額〕=資本金ということになります。

また、複数の事業所の立ち上げを考えている場合は、準備しなければならない金額が事業所数によって変わってくるため注意しましょう。

派遣会社設立に必要な厚生労働省の許可とは

派遣会社設立に必要な厚生労働省の許可とは

厚生労働省の許可を得るためには、許可要件をすべて満たす必要があります。ここでは資本金以外の許可要件や申請に必要な書類を解説します。

労働者派遣事業に必ず必要

人材派遣事業を起業するには、必要な要件をすべて満たして必要書類を作成の上、都道府県労働局に許可を申請しなければなりません。

また、この許可には有効期間があり、一定期間ごとの更新が必要です。新規の許可の場合は3年、有効期間更新の場合は5年ごとです。有効期間満了の3カ月前までに更新申請をしなければならないので、早めに手続きを開始することを忘れないようにしましょう。

更新には手数料(5万5,000円×労働者派遣事業所数)と登録免許税(9万円)が必要です。

許可申請に必要な資本金以外の要件

人材派遣業設立にあたっては、資本金の準備以外にいくつもの許可要件があります。許可基準を確認しておきましょう。

資産要件

次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  • 資本金2,000万円以上
  • 資産のうち1500万円以上が現金・預金
  • (資産ー負債)=負債の7分の1以上」

融資や借入金、出資金は資産に含まれません。

派遣元責任者の要件

事業所ごと、または派遣社員100人につき、1名の派遣元責任者をおかなければなりません。そのため「派遣元責任者講習」の受講が許可要件の一つとなっています。

講習会は全国の主要都市で開かれており、東京では月に2回から3回、地方都市では2か月から3カ月に1回程度、開催されています。受講費用は1万円前後で、「派遣元責任者」の有効期限は3年のため有効期限が来る前に再受講する必要があります。

また、事業主になるためにはいくつか要件があります。代表的なものは次の通りです。

  • 未成年ではないこと
  • 住所が一定していて生活が安定していること
  • 健康であること
  • 雇用管理経験が3年以上あること
  • 労働者派遣法6条の第1号~12号に定める欠落自由に該当しないこと

事務所に関する要件

事業所の広さや場所についても基準があります。事業に使用する面積が20㎡以上あり、面接や面談をするときに差し障りない占有スペースが必要です。

また、事業所の近隣に風俗営業法の規制対象となるような店がないことも定められています。申請後の現地調査で、広さや立地もチェックされるので注意しましょう。

個人情報に関する要件

個人情報適正管理規定が整っている必要があります。個人情報の取り扱いに関する要件は次の通りです。

  • 取り扱い職員の範囲が決まっていること
  • 取り扱い職員以外の個人情報へのアクセス防止ができていること
  • 業務目的以外で個人情報を使用・漏洩しないこと
  • 労働者本人から希望があった場合の、個人情報の開示・訂正・削除に関する規定を定めていること
  • 常に正確で最新の情報をしておくこと
  • 紛失・破壊・改ざんの防止策があること
  • 社会差別になるような個人情報の収集を禁止していること

派遣社員のキャリア形成に関する要件

法律により、すべての派遣社員は「キャリア形成支援」を受ける権利を有します。そのため、事業主は派遣社員のキャリア形成に対する計画を立てておかなければなりません。

例えば、派遣社員の教育訓練計画や、キャリアコンサルティングの相談窓口を準備するなどのほかに、教育訓練の時期や頻度、時間数といった具体的な計画も立てておくとよいでしょう。

許可申請に必要な書類

人材派遣業は個人でも開業することができますが、人材派遣業の開業申請は複雑で必要書類も多いため、専門家に頼るのも一つの方法です。

申請に必要な提出書類は次の通りです。

  提出書類
法人・個人に共通
  • 労働者派遣事業許可申請書(様式1号第1面・2面)
  • 労働者派遣事業計画書(様式3号第1面~2面)
  • 事業所の使用権を証する書類
  • 労働局で依頼された確認書類(事務所内のレイアウトなど)
  • 就業規則や労働契約などの写し
  • 派遣労働者のキャリア形成を念頭においた派遣先の提供のための事務手引き、マニュアルなどまたは概要の該当箇所の写し
  • キャリア形成支援制度に関する計画書(様式3号-2第1面) 
  • 派遣元責任者の住民票の写し・履歴書
  • 派遣元責任者講習会の受講証明書
  • 個人情報適正管理規程
  • 自己チェックシート (様式15号)
  • 事業内容のわかる資料(パンフレットなど)

法人の場合のみ

  • 定款または寄付行為
  • 役員の住民票の写し
  • 役員の履歴書
  • 商業登記簿謄本
  • 最新の貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書もしくは設立時の貸借対照表
  • 直近の法人税の納税証明書(新規設立の場合は不要)
個人の場合のみ
  • 住民票の写し(本籍地の記載あり・個人番号の記載のないもの)
  • 履歴書
  • 所得税の確定申告書の写し(最近の納税期のもの・納税地の所轄税務署の受付印あり)
  • 納税証明書
  • 貸借対照表及び損益計算書(青色申告の場合)
  • 不動産の登記事項証明書・固定資産税評価額証明書(白色申告・青色申告でも簡易な場合)
  • 預金残高証明書(納税期末日のもの)

資本金を用意は規定より多めに用意しておくのがベター

資本金を用意は規定より多めに用意しておくのがベター

資本金の額は2,000万円と高額ですが、用意する準備金はより多いほうが安心です。多めに準備したほうがよい理由を紹介していきます。

ビジネスがしやすくなる

資本金の額は、信頼度に関わります。資本金額が大きいと、会社に資金力があることの証明になります。安定しているイメージを与えることができるので、ビジネス拡大のための優秀な人材を集めやすくなるでしょう。

また、資本金が多いと融資を受けやすいメリットもあります。

経営が悪化したときに使える

資本金は事業の運転資金であるため、開業後には使うことができます。運転資金がショートして支払いが苦しいときなどに資本金を利用しましょう。事業のためなら、派遣社員の給料支払いでも商品の調達でも、さまざまな用途に利用できます。

また、開業前に金額を多めに貯めておくことで、開業の許可申請に通らなかった際のリスクヘッジにもなります。

申請に通らなかった場合は、問題となった部分を修正し再申請することになります。再審査や現地調査が入ることを考えると、2カ月程度は開業が先延ばしになるでしょう。

その際に資産を2,000万円以上貯めていれば、余剰分を使って乗り切ることができます。また、再申請の際の許可申請費用に充てることもできます。

人材派遣会社の起業で利用できる助成金

人材派遣会社の起業で利用できる助成金

人材派遣業を支援するための助成金制度がありますが、ここではどのようにして助成金が受けられるのか解説していきます。

※情報は2021年4月のものです。利用時に公募しているかどうか確認してください。

キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」は、非正規労働者のキャリアアップ促進のために、厚生労働省が設けている助成金制度です。起業した際に採用した有期雇用労働者を、正規雇用労働者へ転換したり賃金待遇を改善したりすることで、助成金を得ることができます。

正社員へ転換した場合の金額は次の通りです。

  • 有期 → 正規:1人当たり57万~72万円
  • 有期 → 無期:1人当たり28万5,000~36万円
  • 無期 → 正規:1人当たり28万5,000~36万円

賃金規定を改善した際にも助成金が出ます。詳細は「キャリアアップ助成金のご案内」を確認しましょう。

参考:キャリアアップ助成金のご案内

地域雇用開発助成金

「地域雇用開発助成金」は、地域限定の助成金で、雇用機会が不足している地域の労働者を増加させるために厚生労働省が設けています。特定の地域に事業所を設置・設備し、その地域の求職者を雇い入れた場合に助成金が支給されます。

助成金対象の地域は、厚生労働省が提供する「過疎等雇用改善地域一覧」で確認できます。該当する際には申請しましょう。

参考:地域雇用開発助成金

参考:過疎等雇用改善地域一覧

人材確保等支援助成金

「人材確保等支援助成金」は、従業員の待遇改善と離職率の低下を目的として設けられた制度です。

受給するためには、雇用管理制度の導入と雇用管理改善が必要です。また、それに伴い離職率を低下させる必要があります。雇用管理制度を導入しただけでは助成金を得ることはできないので注意しましょう。

離職率の目標値は次の通りです。

対象事業所における雇用保険一般被保険者の人数区分 低下させる離職率(目標値)
1~9人 15%
10~29人 10%
30~99人 7%
100~299人 5%
300人以上 3%

目標達成で57万円、生産性要件を満たした場合は72万円の支給があります。

参考:人材確保等支援助成金

人材紹介は人材派遣より少ない資本金で起業可能

人材紹介は人材派遣より少ない資本金で起業可能

人材派遣業界は資本金の額が2,000万円と高額で、開業したくても資金調達が難しいと感じる人も多いでしょう。そこで、ここでは同じ人材ビジネスでありながら許可要件である資本金額が派遣業界よりも少ない、人材紹介について解説します。

人材紹介業は人材派遣業と異なり、求職者と直接雇用契約を結びません。そのため、給料を支払ったり社会保険の計算をする必要もありません。

人材紹介業の仕事は、求職者をクライアント企業に斡旋することです。紹介する人材が採用されるまでは1円も利益が出ませんが、採用された場合に成功報酬として紹介手数料を得ることができます。

紹介手数料の相場は、紹介した人材の想定年収の30~35%程度です。

人材紹介業を立ち上げる際の許可要件は、人材派遣業の要件と似ていますが、最も大きく異なるのは資本金が500万円以上であることと、現金・預金が150万円以上であることです。

資本金と現金・預金に関する許可要件の比較は次の通りです。

  人材派遣 人材紹介
資本金額 2,000万円以上 500万円以上
現金・預金 1,500万円以上 150万円以上

人材紹介会社のほうが、人材派遣会社よりも資本金の面からみた起業のハードルが低いことがわかります。

人材紹介会社の立ち上げ支援を行っているサービスもあり、クラウドエージェントでは人材紹介ビジネスお役立ち資料の無料ダウンロードや、無料の資料請求ができます。興味がある方は利用してみるとよいでしょう。

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人材派遣会社の設立には多額の資本金が必要

人材派遣会社の設立には多額の資本金が必要

人材ビジネスには、人材派遣と人材紹介があります。人材派遣は継続的な収入が見込まれますが、資本金の額が2,000万円と高く、許可要件で準備しなければならない現金・預金も1,500万円です。

それに対して、人材紹介は成功報酬型のため安定した継続的な収入はありませんが、利益率が高く、設立に必要な資本金は500万円です。

人材派遣業と人材紹介業、それぞれにメリットとデメリットがあるので、よく検討して自分にふさわしいほうを選択するとよいでしょう。

また、人材紹介会社の設立に関しては、人材紹介会社向けのサポートサービスの利用がおすすめです。たとえば、クラウドエージェントでは5,000件以上の求人情報を今すぐ使えるだけでなく、専門家のノウハウ提供や無料のセミナーも開催しているので、うまく活用すれば会社を早く軌道に乗せることが可能です。

 


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