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一見して感じる、タダモノでなさ。他のエージェントと一線を画す人脈の豊富さ、2019年5月に開業、8月に人材紹介の免許を取得してわずか3カ月で5名の成約を決めた実力……元サントリーのエリート営業マンから人材業界へ転身した古荘智圭(ふるしょう・ともよし)さんは、その経歴にたがわぬ見事なスタートダッシュを実現しています。
開業早々にこうした実績を出せた秘訣は、どこにあるのでしょうか? 前後編に分けてたっぷりとお話を伺いました。
サントリー時代から「いつか独立して勝負したい」と思っていました
――大学を卒業されてから今まで、どのような仕事をされていたんでしょうか?
古荘 2008年4月にサントリーへ入社し、名古屋支社で営業に配属されました。クライアントは飲食店の地場のチェーン店さんで、20~30社くらいのお客さんを担当しました。
2015年までそこにいて、2019年までお台場の営業戦略部に所属。全国の営業マンに向けた戦略を練ったり、営業を推進する部署に行って過ごしました。その後グループ会社の経営管理部に異動後、自分で経営したいと思い退社しました。
――独立したのは、いつ頃なんでしょうか?
古荘 今年5月です。まだ始めたばかりですね。ただ、2013年頃からベンチャーの立ち上げをサポートしたり、友人の飲食店のお手伝いをしていたりとリアル商売にはいくつか携わっていました。その中で「商売って面白いな」「商売って難しいけど、だからこそチャレンジしたい」と思って独立しました。
――なるほど。サントリーさんのような大企業から、独立しようと思ったきっかけは何があったんですか?
古荘 「自分でやってみたいな」というのは30歳になる前くらいから思っていて。その時から「人材業界は面白いんじゃないか」と思っていたんです。
けど、そのタイミングで異動になって。新しい部署に行ったことで環境も変わり、色々とタイミングがずれ込みました。
――今後、社内で恐らくこの年にこういうポジションになる……みたいなビジョンが見えたと。
古荘 そうです。「このまま、他人がつくった船に乗ってて良いのかな」と思って。人材業界で勝負したい思いがあったので、良いタイミングだと思って独立しました。
――転職は考えられなかったんですか?
古荘 有り難いことに数社からお声がけは頂いたのですが、結局どこに行っても「組織の中に入る」という意味では一緒なのかなと。自分の力でどこまで出来るか、チャレンジしたい気持ちのほうが強かったです。
――なるほど。人材に興味を持ったきっかけはあるんですか?
古荘 サントリーの営業スタイルが影響しています。お酒を売っているイメージがあると思うんですが、実際には「飲食店に絡むことは何でもやる」職種です。
例えば食材や物件を提案したり、人材教育に絡んだり、上場したい企業があれば財務コンサルを入れて決算書を作り直したり。結構、手広くやっていました。
その時に何を売りに商売してるのかを言えば、自分自身でつまり「人」だと思っていて。「じゃあ、商材が人である人材業界もいけるんちゃうかな?」みたいな気持ちはありました。自分がアサヒだろうが、キリンだろうが、私から買って頂いている感覚はありましたので。
――古荘さんが免許を取得されて、取材時点で3カ月くらい。スタートですでに5名成約されているとか。「ようやく1人成約しました」という人が大半なのに、驚異的なスピードです。
古荘 まだまだ、スロースタートだと思っています。
――まだギアを上げると。ちなみに、5名の方はどこから集められたんですか?
古荘 クラウドエージェントさんから2名、あとの3名は独自のパイプですね。
――いや、すごい。逆に、何か苦戦していることはありますか?
古荘 そうですね、苦戦していること……なんだろう(笑)。
――苦戦していないですね(笑)。
専任期間をいかに伸ばせるか、常に意識しています
――取材時点ですでに5名成約されているということですが、入社後3カ月以内に退社された際は一部返金というルールになっていると思います。その点について、「大丈夫」という確信はありますか?
古荘 ある程度はこちらでコントロールできますが、最終的にはその方の判断なので。それを気にしても、こちらができることって限られていると思うんですね。
もちろん、規約の話は求職者の方にやんわりとします。信頼関係もあるので、「いきなり飛んだりはしないですよね?」みたいなジャブを打ったり。でも、それぐらいですね。
――「どうやって人脈を作っていくのか」と考えるのがこのビジネスにおいて重要なポイントで、そこをすでにクリアしているのは強いですね。
古荘 おっしゃる通りですが、まだまだですね。来年4月までに入社したい、という方があと20名ほどいますし。
リードは、ホットとコールドに分けて管理しています。分け方としては、例えば「自分以外の転職エージェントと絡んでいるかいないか」「転職希望時期が早いか遅いか」など。確率論でバーッと出して、高いところからアプローチします。
初めて会う時には、「他の転職エージェントさんと絡みはありますか?」「極力専任にしてほしい」ということは伝えるようにしています。
――絶対に成約させるから、と。
古荘 というより「転職エージェントを増やすだけ、いろいろな案件が来ると思われますよね? それは逆なんですよ」って話をしますね。
――なるほど。
古荘 逆の立場になってみれば、すぐわかることですよね。単純に、誰かと天秤に掛けられている状態と専任とでは、エージェント側のテンションが全く違います。
エージェント同士が持っている情報って、そんなに変わらないので。1人に集約してもらえたら、フルパワーで行けますということですね。
なので「最初の2週間だけでも専任でやらせてください、それでイマイチだったら向こうに行ってください」と言っています。専任期間をいかに伸ばせるかは、一番意識していますね。
give、give、give。とにかく先に与えること。
――求職者の方をホット/コールドに分けておられる話ですが、そのことってエージェントについて教わる基本なんですよね。最初から頭の中に入っていることに、感銘を受けています。
古荘 とはいえコールドと判定しても、関係を切るわけではないんですよ。絶対に切らないです。どこでどうつながるか、わからないので。
最近の事例で言うと、32歳ですでに5回転職している子がいたんですけど、職種が労務なんですよね。労務って特殊だから、絶対にチャンスあるなと思っていて。
で、先日とある人事の方と話をしていた時に「労務に欠員が出たんですけど、誰かいい人いませんか?」って話が来て。
――待ってました、みたいな(笑)
古荘 すぐに先方に送って、現時点で最終面接まで行っています。そういうケースもありますし、人間関係は切らずに大事にしています。
――求職者さんに対しては、どういうサポートの仕方を取られていますか?
古荘 それはもう、キャリプロの研修プログラムで教えていただいたやり方をやっています。最初は面談を1時間くらいやって、とか。オーソドックスだと思います。
――やり方ではなく「いかに人を握っているか」だと。
古荘 そうですね。あとは皆さん専門化しているじゃないですか、例えば「管理部門が強い」とか。
でも、僕は特化していなくて。年収200万から3,000万~4,000万くらいのレンジまで、全部受けているんです。職種についても、それこそ水商売から昼の仕事に就きたい方とか、ベンチャーキャピタルの方とか、幅広くて。
「古荘に言ったら、何とかしてくれる」っていうブランドを作りたいんです。「仕事に困っているなら、古荘に相談しよう」という流れをここ1年で作り上げたい。皆さんは専門化、専門化って言っているので、僕は逆張りで行くということですね。
夜から昼の仕事への転職、を専門にやっている会社もあるので、その会社とアライアンスを組んだり。看護師専門のところもあります。僕は1人ですけど、アライアンスは結構組んでいるので仲間が多いです。いつでもどこからでも来てください、というブランディングをしています。
――貴社のWEBページを拝見しましたが、かなり著名な会社さんとも取引がありますね。
古荘 そうですね。
――すごいパイプをお持ちですよね。そうなると面談はすぐ進むので、例えば転職回数が多少多くても「古荘さんが勧めている方だから」で進むところはありますよね。
古荘 そうですね、通常応募だと書類で落ちてしまうこともあったり。直パイプの所じゃないと難しいケースはあります。
――それだけの人脈を培われたのは主にサントリー時代だと思うのですが、どのように信頼を勝ち取って来られたんでしょうか?
古荘 信頼の勝ち取り方でいうと、とにかくgiveすることですね。結構みんな、貰いたがるじゃないですか。でも僕は、先に全部出すんです。自分が提供できることを。
give,give,giveで。たまにもらえたら良いかな、くらいの精神で。24、25歳くらいから、そういうスタンスを続けています。
――例えば、どういう感じでgiveされたんですか?
古荘 直近で言うと、プルデンシャルの所長さんと組んだりしているんですよ。彼らはヘッドハンターとして日々転職希望の若者にアプローチをしています。その中でプルデンシャルに入りたくても入れなかった求職者をご紹介いただく、受け皿になったりもしています。
だから、例えば優秀な人と別経由でコンタクトをとった際に、クラウドエージェントで決めたいなと思っても、「この間求職者をご紹介いただいたから、先に提供してお返しよう」とか、そういうやり方をしていますね。人脈と呼ぶのかノウハウなのかはわからないですけど。
――なるほど、その行動パターンが染みついているんですね。
古荘 そうですね、それはあると思います。
<後編へ続く>
ライター:澤山大輔
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