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アメリカでは既に主流となっている採用方法の一つである「ダイレクトリクルーティング」をご存知でしょうか。日本ではまだ拡大途中で、導入している企業もそれほど多くはありません。
しかし、採用活動におけるコストの削減や、スピーディーな対応、求める人材とピンポイントでコンタクトをとることができるなど、ダイレクトリクルーティングを行うメリットはたくさんあります。
この記事では、ダイレクトリクルーティングの仕組みや導入した場合のメリット・デメリットなどを解説します。今後の採用活動の参考にしてみてください。
- ダイレクトリクルーティングとは
- ダイレクトリクルーティングと人材紹介の違い
- ダイレクトリクルーティングを導入するメリット
- ダイレクトリクルーティングを導入するデメリット
- ダイレクトリクルーティングを導入する際のポイント
- ダイレクトリクルーティングの導入は慎重に
ダイレクトリクルーティングとは
ダイレクトリクルーティングとは具体的にどのようなものなのでしょうか。ここでは採用手段として国内で徐々に活用され始めているダイレクトリクルーティングの概要を説明します。
企業が直接アプローチする採用方法
従来の採用活動では、企業側は自社が出した求人に対して希望者からの応募を待つスタイルが主流でした。
しかし、ダイレクトリクルーティングは企業側が求職者に直接アプローチを行います。
具体的にはソーシャルメディアを活用した情報発信や、セミナーの開催などで人材を探すことで、効率的に採用活動を行うことができます。
また、ダイレクトリクルーティングを行うと、すぐに採用してもらいたいと思っている求職者だけでなく、今すぐに転職することは難しいがそのときがきたら検討したいという転職潜在層も含めて、アプローチをすることが可能となります。
企業の3.0%が活用している方法
2018年4月に発表されたマイナビの「2019年卒 マイナビ企業新卒採用予定調査」によると、ダイレクトリクルーティングの企業普及率は3.0%ほどです。
現状、日本で導入している企業はそれほど多くないですが、アメリカでは既に直接応募と並ぶ普及率を誇っており、今後日本でも主流の採用手段となっていくことは十分に考えられます。
ただ、日本でダイレクトリクルーティングが採用され始めてまだ年月が浅いため、ノウハウは海外に比べるとそれほど蓄積されているわけではありません。今後導入する企業はユーザー側にも企業側にもメリットが大きくなるよう、試行錯誤していく必要があります。
媒体を利用することも可能
ダイレクトリクルーティングを行う際は求人の目的やターゲットに合わせてサービスを活用することも可能です。
ダイレクトリクルーティングができる代表的なサービスとしては、LinkedIn(リンクトイン)、ビズリーチ、インディード、リクナビネクストなどがあげられます。
料金設定はサービスによって異なり、月額制やクリックするたびに料金が発生するクリック課金制、求人を掲載してもらうためのシステム使用料+採用が決まった人数分の成功報酬などさまざまなかたちがあります。
また、それぞれのサービスの違いももちろんですが、同じサービスでも無料会員と有料会員では使用できる機能や範囲が異なるという点にも注意が必要です。
ダイレクトリクルーティングと人材紹介の違い
ダイレクトリクルーティングと人材紹介ではどういった違いがあるのでしょうか。それぞれの特徴を掘り下げ、比較していきます。
企業が直接コンタクトを取れる
企業側から直接求職者にコンタクトを取ることができるのがダイレクトリクルーティングの大きな特徴の一つです。
一方で人材紹介を利用する場合、人材紹介会社を介して採用候補者とコンタクトを取ります。
つまり、人材紹介では企業側は自社が求める人材を見つけてもらうまで「待つ」ことになりますが、ダイレクトリクルーティングでは自社が自分で求める人物像を検索することができる「攻め」の採用活動を行うこととなります。
手数料が掛からない
一般的に、人材紹介の手数料の相場は採用者の年収の35%程度と言われています。
一方、ダイレクトリクルーティングでは企業が求職者に直接コンタクトを取るため、手数料が発生しません。
ダイレクトリクルーティングで発生する費用としては、登録してあるデータベースを利用するための利用料があり、これは数カ月~数年間というスパンで必要になります。
金額は利用する期間によって異なりますが、データベース利用料の相場は数十万~500万円と言われています。
またダイレクトリクルーティングの中には成功報酬型のものもあるので、きちんと料金体系を確認しておくことが大切です。
人材を探すまでの工数が少ない
人材紹介会社に求人掲載を依頼する場合、採用要件の確認や稟議決済、求人票や掲載原稿のチェックなど、複数の工程があるため求人の掲載に時間を要する場合があります。
しかしダイレクトリクルーティングであれば、求職者に直接コンタクトを取るため、急な人材確保が必要になった場合でもすぐに対応することが可能です。
実優秀な人材の採用を逃してしまう可能性をできる限り減らすという意味でも、ダイレクトリクルーティングを行って自社が応募したいタイミングですぐに行動に移すことで採用力を高めることができます。
ダイレクトリクルーティングを導入するメリット
ダイレクトリクルーティングを用いるとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、ダイレクトリクルーティングを企業が導入した際のメリットを紹介します。
コストを削減できる
人材紹介会社に求人を依頼すると、手数料や成功報酬が発生します。
具体的に数字でみてみると、年収が800万円の人を採用とした場合、手数料は年収の35%が相場なので280万円、10人採用した場合には2,800万円とかなり高額な費用が必要になります。
しかし、ダイレクトリクルーティングであれば、10人採用した場合2,800万円ものコストを削減することができます。
ダイレクトリクルーティングを活用する際には、人材データベースの利用料をあらかじめチェックし、登録者数、登録している年齢層などを確認してから活用するのがおすすめです。
より希望に合った人材を見つけられる
ダイレクトリクルーティングでは、自社が求めている人材を自分たちで探すことができるので、より希望条件に合致した理想の人材を見つけやすくなります。
企業側としては自社にとって理想の人材を見つけるため、細かな募集要件を設定することや、自社ページを充実したものにすることなどが大切です。
また、企業側から求職者に直接コンタクトを取った際、会社ページを閲覧してどのような会社なのか、働く環境はどんな雰囲気なのかを確認する確率が高まります。
そのため、自社ページをあらかじめ魅力のある会社に見えるよう設計したり、働いてみたくなるような職場環境などが伝わるような内容にしたりしておくことが大切です。
自社が求める人材により近い人材を確保できるというダイレクトリクルーティングのメリットを最大限に活かすためにも、自社ページを充実したものにしておきましょう。
ダイレクトリクルーティングを導入するデメリット
まだまだ普及途中のダイレクトリクルーティングには、導入によるデメリットも多数存在しています。デメリットもしっかりと把握した上で、目的や状況に合わせて上手に使いこなしましょう。
一度に複数の候補者を選ぶのは難しい
ダイレクトリクルーティングでは、企業が自分達で自社に合った人材を探すことができますが、複数人の採用を検討している場合、一度で条件に見合った人材を大勢見つけることは難しくなります。
また、誰にでも該当するような文面を送信していては、自社へ興味を抱いてもらえない可能性があるため、採用候補者それぞれに合ったスカウトメールを作成する必要があります
そのため、各個人ごとにスカウトメールの文面などを考えて送信する時間をあらかじめ見積もっておくことが大切です。
このように採用に至るまでの工程を考えると、急な人材採用には自分たちのタイミングで実行に移すメリットがある反面、複数人数の採用では時間を要してしまうことがわかります。
社員の業務が増える
従来であれば、人材紹介会社のサポートを借りながら求人票やコンタクトをとることができますが、全ての工程を自分達で行う以上、求人を公表するまでにも時間を要してしまいます。
採用候補者が見つかった後も、各個人へのコンタクトも自分達で行わなければなりません。
また、採用候補者が見つかっても、ただスカウトメールを送信すれば優秀な人材の採用ができるというわけではありません。
どのように採用候補者に自社をアピールすれば採用に成功するのか、仮説を立てて検証を繰り返していく必要があります。
また、採用候補者が見つかっても、すぐに面接という流れにするのではなく、密なコミュニケーションをとりながら信頼関係を築く長期的な取り組みが必要であることからも、社員の業務量増加は避けられません。
ダイレクトリクルーティングを導入する際のポイント
ダイレクトリクルーティングに関するサービスは様々なものが存在しています。
企業がサービスの活用を始める際、どのような点に気を付ければ良いのでしょうか。ダイレクトリクルーティング活用の恩恵がしっかりと受けられるよう、導入の際に抑えるべきポイントを事前に確認しておきましょう。
登録者の多い媒体を選ぶ
求めている人材を探し出すには、登録者が多い媒体を選ぶことをおすすめします。
希望の人材を見つけるには、多くの求職者にスカウトメールを送信することも大切です。
例えば、1,000人にスカウトメールを送信する場合、登録者数が1,000人では自社に合った人材を十分に見つけられない可能性があります。
目安としては、1,000人にスカウトメールを送信するのであれば、最低でも3,000人は登録している媒体を選ぶようにしましょう。
また、媒体の登録者の年齢層やスキル、希望職種などが求めている人材像と合致しているかも合わせて確認する必要があります。
契約する媒体を増やす
より多くの人材にスカウトメールを送信する場合、登録者数の多い媒体を契約することも大切ですが、実際のところ登録者数は無限に存在する訳ではありません。
そのため、求職者からの返信率を高めるためにも、契約する媒体の数を増やすこともポイントです。
一般的に同じ条件で人材を探していると、いずれスカウトメールの送信対象者がいなくなってきてしまいます。
そうならないためにも、複数の媒体を契約して、いつでも優秀な人材へのアプローチができる状況を維持しておくことが大切です。
ノウハウを蓄積する
ダイレクトリクルーティングでは、社員自らが求職者と直接コンタクトをとるため、社員側もリクルーティングに関するノウハウを持っておく必要があります。
そのため効率良く、また、早いレスポンスで対応して優秀な人材を逃さないような採用を社内で再現するためにも、ダイレクトリクルーティングの活用におけるノウハウを蓄積しておくことが大切です。
また、リクルーティングを効率良く進めるためには、情報を一元化することがおすすめです。採用候補者の選定やアプローチの進捗状況、応募者管理や日程調整など、常に最新の情報を共有できるよう、一元化しておくことで、スムーズに採用を進めることができます。
ダイレクトリクルーティングの導入は慎重に
ダイレクトリクルーティングという採用手法は、ここ最近日本で徐々に広がりつつあります。
多くの企業が導入を始めていますが、採用を上手く行うためには、媒体選びやダイレクトリクルーティングをスムーズに行うための環境作りが必要不可欠です。
そのためあらかじめダイレクトリクルーティングの具体的な採用プロセスを把握し、優秀な人材を確実に採用するためのノウハウを蓄積できる仕組みを作っておきましょう。
ただし、ダイレクトリクルーティングにはデメリットもいくつか存在しているため、導入は慎重に行いましょう。