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「複数社に内定しないといけない理由。」鈴木利弘(H&innovation株式会社・取締役COO=当時 / 現:株式会社Careeeer・代表取締役社長)〜事業成功ストーリー後編

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「複数社に内定しないといけない理由。」鈴木利弘(H&innovation株式会社 取締役COO)〜事業成功ストーリー後編

他社のわずか1/3のクライアント数で書類通過率50パーセント(業界平均約30パーセント)、複数社の内定獲得を実現するなど、圧倒的な成果を誇るH&innovation株式会社

 

同社の人材紹介事業を担う取締役COO鈴木利弘さんが語る、事業成功の秘訣はどこにあるのでしょうか。前編に続いてお送りします。

  

求人は「活躍できるイメージがあるか」で決めます

鈴木 続いて「セカンドフェーズ」で求人紹介を行うわけですが、求人を紹介することは求職者に対するプレゼンテーションでもあると思います。どの会社に入るかがキャリアの分かれ道になる以上、機械的に条件だけポチっとやって渡す、みたいなことはしたくないんです。

他のエージェントでは、希望職種や年収、勤務地などの条件をチェックボックスに入れて自動的に吐き出すんですね。約1時間の面談の終盤に印刷して、求職者にばっと見せちゃう。

私は、それをやりたくないんです。なので、面談後に時間を確保した上で、徹底的に求人を探します。「こんな方向性かな」と思う求人をクラウドエージェントで緩くセグメントしてから、大体200~400求人、場合によっては600求人ぐらい、そのすべてに目を通します。

その際に心がけているのは、求職者を想像して、活躍できるイメージを持てるどうか。イメージを持てても、応募要件が合わずにエントリーできないものもあるので、「これだったら応募できる」「ここだったら活躍できる」の2点で選びます。

そこまでやれば、求職者の方が見た時に、「訳のわからない」と感じる求人を紹介することはないんですよね。

求職者の話を聞くと、他のエージェントからは「英語は使いたくない」と言っているのに英語ありの求人が送られてきたり。転勤なしが希望なのに転勤ありの求人が送られてくるとかザラにあるようです。

――ありますね、似たような経験をしたことがあります……。

鈴木 加えて、私の場合は求人を送る時にすべてに理由をつけます。なぜこの求人を選んだのか、求人ごとに簡単に5、6行のコメントをつけて送るんです。もらった側は「きちんと考えてくれたんだな」と受け止めてくれます。求職者がエントリー求人を選ぶ時に、なぜ選んだのかを確認するので、紹介する側も理由を明確にしないとダメで、常にロジカルに進めたいと思っています。

ここまでが、どこに応募しようかという流れで、セカンドフェーズと考えています。

「複数社に内定しないといけない理由。」鈴木利弘(H&innovation株式会社 取締役COO)〜事業成功ストーリー後編

1社しか内定しない場合、何が問題なのか?

鈴木 いよいよサードフェーズですが、ここからは「受かること」が重要になります。どんなによい求人を紹介したって、受からないと「頑張ったね」で終わってしまう。求職者が喜び、私もビジネス上成功するためには、受からないといけない。

ここからのサポートでは、応募書類に自分の得意なことを落とし込めるように、何往復も添削しながら、書類を作成する。面接に進んだら、面接対策として、1社ごとに志望動機を自分の言葉で書いてもらい、添削する。面接が終わったら電話をもらい、振り返りをして次の面接へ。こうした小さなPDCAを、面接ごとに回すんです。

そこまでやると、早い人はすぐ受かりますし、コツをつかむまで2、3社落ちてしまうケースもありますが、どこかのタイミングで合格水準を超えられます。面接って、一定レベルを超えると、1次面接はほぼ落ちなくなるんです。こうした小さな成功体験を積み重ねることで自信をつけていって、最終的に複数社での内定を獲得していきます。

――非常にロジカルですね。

鈴木 複数社から内定を獲得できる理由はもう2つあって、1つは「本人が納得したうえで、比較的多めの求人にエントリーする」ところですね。他社だと応募承諾を取りづらいのが、私の場合は全部理由付きで送るので比較的エントリーに応じてくれるんです。

もう1つが、履歴書や職務経歴書も作り込むこと。業界平均で書類通過率30パーセントぐらいのところ、平均で50パーセントぐらい通過できています。面接の数を担保できるから、最終的に複数内定が取れるというわけですね。

1社しか受からないと、「この会社に入るべきか?」と悩んでしまう方もいます。また、どうしても現職を辞めたい方は「ここでいいや」となりがちで、入社してから「やっぱり違った」と思う方も多い印象です。

だから、私は基本的に複数社から内定を獲得したうえで、オファー面談を積極的に依頼し、色々な話を聞くなどして「どこに入るべきかを確認して決めなさい」と言っています。

結果として、入社後に成功している方は多いと思いますね。「リーダーになりました」「昇格しました」「給料上がりました」みたいな。得意分野を見つけて、発揮できる場所に入ってもらうようにしているので、活躍しやすいのだと思います。

ここ2年ぐらい1件もリファンド(払い戻し)が発生していません。人材紹介って、紹介した人が早期退職すると一定額を企業様にお返ししないといけません。それが発生していないので、最低限のマッチングは成功していると思っています。

「複数社に内定しないといけない理由。」鈴木利弘(H&innovation株式会社 取締役COO)〜事業成功ストーリー後編

今は、面談数を増やしていないんです

――伺っていると、「当たり前のことを、高い熱量でやられている」という印象です。他のエージェントさんは、組織に属していることも大きそうですね。量を課されるというか、面談設定数が何件とか、そういうところがKPIになってしまいがちです。

鈴木 そうですね。一応、私の中でゆるいKPIとして「月に何件、私に転職活動を任せますと言ってもらえるか」を設定しています。でも、それぐらいですね。たまに精神的にブレちゃったり、「状況変わったので止めます」という人がいますが、それ以外の方は、基本的に内定まで伴走できるので。

対応する人数が多すぎると、サポートの質が下がるので、そこはコントロールしたいですね。なので、今は面談数を増やしていないんです。月に10人と面談できたら十分で、他のエージェントさんの1/3~1/4ぐらいだと思います。

――打席数は少なくとも、打率が高いから問題ないと。

鈴木 そうですね。10人と面談したら7、8人ぐらいはサポートを任せてもらえています。

面談後に任せてもらえる率が上がったのにはもう1つ理由があって、それは今はほとんど紹介とTwitterでしか集客していないことです。

以前に転職を支援した方から紹介してもらえるので、相談に来る前に説明を受けていて、私がどんな人間か知っているんですね。「厳しい人だよ」「言うこと怖いけど親身になってくれるよ」とか、言われるみたいですけど。

あとは、Twitterですね。こちらは、いわば「相談をお願いされる立場」でサポートをスタートできるので、お客様扱いをしなくてもよくって、それがやりやすさにつながっています。Twitterでも普段から言うことは変わらないので、「ビシバシ鍛えてください」みたいな人が来るんです。

――なるほど、鈴木さんの人となりを理解して相談に来るのでマッチする確率も高いんですね。

鈴木 Twitterの場合は色々な方がいるので、全員をサポートできるわけではないんですけどね。私のサポートスタイルにフィットしやすいと感じています。

あとは今日の取材もそうですが、メディアに取り上げていただくことも多いので。私の話している記事を見てエントリーしてくださる方も、最近は増えています。

大手にいようが中小・ベンチャー・個人でやってようが、これからはキャリアアドバイザー個人に対して人が集まっていく時代になると思います。そこは、強く意識しています。

「複数社に内定しないといけない理由。」鈴木利弘(H&innovation株式会社 取締役COO)〜事業成功ストーリー後編

1回の転職ですべてを変えよう、と思わないでほしい 

――最後に、求職者の方に向けてメッセージをいただけますでしょうか。

鈴木 「情報感度を高めてほしい」ですね。

面談をしていて多いのは、「営業だったので、営業しかできないと思ってました」とか。もっと情報感度を上げることで、可能性は広がります。

あとは、「ふさわしいエージェントを選んだ方がよい」ということ。

「できるだけ求人がほしい」なら大手へ行った方がいい。逆に、やりたいことが決まっているなら特化型エージェントに行けばいい。もう少し内的要因を大切にしたいなら、例えば、自分がどうなりたいかなど、自分と向き合いたいなら、私みたいなエージェントも増えています。

転職で何を実現したいか、どういう助けがほしいのかを理解して、ふさわしいところに行くと満足度の高い転職につながると思います。知名度だけで選ぶと、大手の病院に行って無下に扱われた、みたいな目にあいますから。

――全く同感です。自分がそういう失敗をたくさんしてきたので、よくわかります。

鈴木 あとは、1回の転職ですべてを変えようと思わないことですね。

「これじゃなきゃ」「好きな仕事だから」で決めると、後々つらいはずなんです。ちゃんとストーリーとして「過去の自分はこう」「これからこうしていきたい」「だから、今回の転職はこっちに踏み出す」と決めるのがべストです。

そうすることでキャリアの可能性が広がるし、最終的な人生の成功により近づくと思っています。

 

ライター:澤山大輔

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