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- 人材派遣会社を運営するには免許が必要
- 人材派遣会社の運営に必要な免許
- 派遣元責任者とは
- 人材派遣会社の運営に必要な厚生労働省の許可とは
- 人材派遣より人材紹介業のほうが開業のハードルは低い
- 免許取得の準備を進めよう
人材派遣会社を運営するには免許が必要
人材派遣会社を立ち上げるためには、「派遣元責任者講習」の受講が必須です。厚生労働大臣が定める設立の要件の中に、この講習会の受講が含まれているためです。
事業立ち上げを思い立ったら最初に行うことは、派遣元責任者講習の受講予約を取ることです。講習会は各地で行われていますが、地域や日時によっては希望する日時の枠が埋まってしまうかもしれません。
申請書類がそろったのに受講予約待ちのために起業予定時期がずれてしまった、ということがないよう、まず予約の確認から始めましょう。
この記事は、「派遣元責任者講習」の受講方法や有効期限、資格の内容、人材派遣会社の認可に必要な手続きの流れを解説します。
人材派遣会社の運営に必要な免許
人材派遣会社の運営に必要な免許は、「派遣元責任者」の資格です。資格は派遣元責任者講習を受講することで得られます。
講習は首都圏を中心に、地方でも年に数回随時開催されています。そのため会場や日程は、自分の都合に合わせて受講できます。
講座は丸一日がかりで行われ、参加すれば資格を得ることができます。試験などはありません。講習の内容は派遣法や労働法といった法律関係の知識なので、起業しようと思っている人にとって大変ためになる内容です。
派遣元責任者の資格は起業の際必須ですが、資格を取得したからといって人材派遣会社を設立できるわけでありません。
資格に加えて厚生労働省が定める条件を満たし、厚生労働大臣の許可を得る必要があります。申請するまでに、資産要件や事務所の要件などの準備を整えましょう。
派遣元責任者とは
派遣元責任者講習の受講意義や、職務について知っておくことも重要です。派遣元責任者の役割や、資格の取得方法について解説します。
派遣社員を管理・保護する役割
2015年に改正された労働者派遣法第36条には、派遣元事業主が派遣元責任者を選任し事業所ごとに配置しなければならない旨が記載されています。目的は、派遣社員を適切に管理し、保護することです。
人材派遣会社を運営していると、派遣先企業と派遣社員のあいだでトラブルや苦情が発生することがあります。そのような問題を迅速に解決する役割が、派遣元責任者に求められます。
派遣元責任者の職務
派遣元責任者の主な仕事は、派遣労働者の雇用管理です。仕事内容には、派遣元管理台帳の作成や保存、派遣労働者と派遣先企業間でトラブルがあったときの問題解決、キャリアについてのアドバイスなどがあります。
主な仕事は次の通りです。
- 登録者を派遣する際に、派遣労働者であることを明示する
- 就業条件などの明示(雇用契約書の原本を作成し最終確認をする)
- 派遣先への通知
- 派遣先および派遣労働者に対する派遣停止の通知
- 派遣元管理台帳の作成や記載、保存(保存義務は契約終了後3年間)
- 派遣労働者へのアドバイスや指導の実施
- 派遣労働者からの苦情処理
- 派遣労働者の個人情報管理
- 完全衛生に関すること、派遣先との連絡調整に関すること
仕事内容には、健康診断に関することや、事故などが起こった際の内容や対応状況の確認などもあります。派遣先企業と適宜連絡を取り合い、派遣労働に関して柔軟な対応が取れるようにしましょう。
派遣元責任者の資格を取得する方法
派遣元責任者として選任されるかどうかは別として、派遣元責任者の資格を得ることは、実は難しくありません。ここでは資格取得方法について解説します。
派遣元責任者になるための要件
派遣元責任者講習は、年齢や学歴などの制限なく受講できます。しかし講習を受けて資格を得ただけでは、派遣元責任者に選任されません。派遣元責任者に指名されるには、次の要件をすべて満たす必要があります。
【派遣元責任者選任における要件】
- 未成年ではないこと。欠格事由(派遣法の第6条の第1~9号のいずれか)にあたらないこと
- 派遣事業を適切に運営でき、派遣法第29条の要件や手続きに従って派遣元責任者を選任していること
- 生活が安定していて、住所が定まっていること
- 適正な雇用管理ができる健康状態であること
- 他人の精神や、身体や自由を不当に拘束しないこと
- 公衆衛生や、公衆道徳上有害な業務に就かせる行為をしないこと
- 派遣元責任者の名義を借りて、許可を得ようとしないこと
- 雇用管理(労務や人事の経験や、派遣会社の労務担当など)の経験が、成年後3年以上あること
- 派遣元責任者講習を受講していること
- 外国人の場合には、日本で認められている公的な在留資格のあること
派遣元責任者講習さえ受講していれば、派遣会社で働くほとんどの人が要件に該当します。気をつけなければならないのは、雇用管理の経験3年以上の項目です。これまで経験してきた職務が該当するのか不明な際には、所轄労働局へ問い合わせましょう。
派遣元責任者講習を受ける
派遣元責任者の資格は、派遣元責任者講習を受講することで得られます。講習は、公益社団法人 全国民営職業紹介事業協会を中心に複数の機関によって、全国各地で受けられます。
講義はほぼ1日がかりです。受講内容は労働派遣法や労働基準法といった法律関係がメインです。実務で役に立つことや、責任者として知っておくべきことが多いので、真剣に受講しましょう。
受講が終了すると「受講証明書」が発行され、派遣元責任者の資格として3年間有効です。
概要 | |
---|---|
受講資格 | 年齢や学歴に制限なく、誰でも受験可能。しかし専任されるには、要件をすべて満たしている必要がある。 |
開催地 | 首都圏を中心に全国各地 |
時間 | 10:00~17:00(主催団体・地域等により異なる) |
受講料 | 実施機関により異なる(相場:5,000~1万円) |
講義内容 | 労働基準法等の適用や、労働者派遣法など法律関係が中心 |
申し込み方法 | 希望する機関に直接行う |
主催団体 | 講習機関は厚生労働省のHPにて確認可能。 |
受講日当日は、筆記用具、受付確認書、本人確認のため運転免許証やパスポートなどの公的な身分証明書が必要です。また受講者都合の遅刻や早退は認められず、受講証明書が発行されなくなるので注意しましょう。
資格取得後は3年ごとの講習の受講が必要
派遣元責任者講習の資格の有効期限は、3年です。更新手続きはなく、3年ごとに再度講習を受講する必要があります。
講習の内容でメインとなる派遣法は頻繁に法改正されるので、毎回同じ内容の講習ではありません。
派遣労働者の保護を図るために、労働者派遣法第36条によって派遣元責任者の配置が会社には義務づけられています。有効期限が切れたことを忘れて再受講しないと、派遣法違反となるので注意が必要です。
人材派遣会社の運営に必要な厚生労働省の許可とは
派遣会社を立ち上げるには、厚生労働大臣の認可が必要です。条件や必要書類、手続きの流れについて解説します。
人材派遣業を始めるための許可条件
人材派遣業を始めるには、派遣元責任者講習を受講しているほかに、資本金や事務所に関する条件を満たす必要があります。
特に重要なのが、資産要件です。準備しなければならない資本金は、1事業所の場合2,000万円です。資本に関する要件の詳細は以下の通りです。
【資本金に関する要件】
- 基準資産額が2,000万円以上
- 資産のうち1,500万円以上が現金や預貯金
- 資産から負債を引いた金額が、負債の1/7以上
基準資産とは資産の総額から負債の総額を控除した額のことです。会社設立時は決算を迎えていないので、貸借対照表に負債はありません。そのため基準資産額=資本金と考えてよいでしょう。
事務所に関する要件もあります。
【資本金に関する要件】
- 位置や設備が人材派遣業に適していること(風俗店密集地帯などではない)
- 事業に使用する面積がおおむね20㎡以上であること
設備というのは、キャリアコンサルティング用の面談場所や研修用のスペースです。申請後に現地調査が入り、それらの確認を行います。
事業所は20㎡以上のマンションの一室でもかまいません。しかしその場合お風呂や玄関、キッチンなど派遣業と関係ないスペースを除いた広さで、20㎡以上となる必要があります。
また前提条件として、刑法に違反したり罰金の刑に処せられているといった欠格事由にあたらないこと、特定の事業者に対する派遣事業ではないことや、個人情報を適切に管理できることなどがあります。
許可申請の必要書類
許可申請には「労働者派遣事業許可申請書」をはじめ、複数の書類を用意する必要があります。申請に必要な書類の一例は以下の通りです。各種書類は、ケースによって異なります。
【官公庁に届け出る書類の一例】
提出先 | 提出書類(一例) |
---|---|
税務署 | 法人設立届出書、青色申告承認申請書、給与支払い事務所開設届書 |
都道府県税事務所 | 事業開始等申告書 |
市役所など | 事業開始等申告書 |
労働基準監督署 | 労働保険 保険関係設立届、労働保険概算保険料申告書 |
公共職業安定所 | 雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届 |
年金事務所 | 新規適用届、被保険者資格取得届 |
また派遣事業許可申請は、事業所を管轄する労働局で行います。ケースにより必要書類が異なるため、不明な点は申請先窓口に事前に問い合わせましょう。
労働局のホームページからダウンロード可能な申請書もあります。提出書類の一例は以下の通りです。
【労働局に届け出る書類の一例】
- 労働者派遣事業許可申請書(様式第1号)
- 労働者派遣事業計画書(様式第3号)
- キャリア形成支援制度に関する計画書(様式第3号-2)
- 定款(事業目的:「労働者派遣事業」)
- 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 住民票(役員・派遣元責任者)
- 履歴書(役員・派遣元責任者)
- 派遣元責任者講習の受講証明書
- 個人情報適正管理規程
- 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書(すべて最近の事業年度のもの、ケースによっては会社成立時の貸借対照表のみの場合もある)
- 法人税の納税申告書(別表1及び別表4)(最近の事業年度のもの、会社設立後最初の決算期を終了していない場合は不要)
- 法人税の納税証明書(その2所得金額用、最近の事業年度のもの)
- 事業所の使用権を証する書類(賃貸の場合:建物の賃貸借契約書)
- 事務所の配席図
- 個人情報適正管理規程
- 自己チェックシート(様式第15号)
- 就業規則
- 派遣労働者のキャリア形成を念頭においた事務手引やマニュアルなど
- 事業内容の確認できる企業パンフレット
- 社会保険の事業所整理記号、事業所番号が確認できるもの
許可申請の手順
会社の許可申請には設立登記が必要となるので、まずはその手続きをすませます。
- 会社目や事業所、事業目的、決算などを確定
- 会社の印鑑を作る
- 定款を作成、公証人役場で認証を受ける
- 資本金を払い込む
- 取締役会議事録作成
- 会社設立登記を法務局にて申請
次に申請から派遣事業をスタートするまでの流れをみていきます。許可申請書の提出は事業所を管轄する都道府県を窓口として行い、厚生労働大臣の許可を得なければなりません。手順は次の通りです。
- 人材派遣参入のための条件を満たし、書類を作成する
- 提出書類の最終確認
- 労働局への書類提出
- 労働局が行う審査・現地調査
- 許可の通知
- 人材派遣会社の事業開始
税務関係や社会保険・労務関係の書類を各官公庁へ届ける必要もあります。こちらは労働局への派遣事業許可申請と同時進行可能です。
人材派遣より人材紹介業のほうが開業のハードルは低い
同じ人材業界ですが、人材紹介は比較的参入へのハードルが低いといわれます。人材派遣と人材紹介の違いをみていきましょう。
人材派遣と人材紹介の違い
人材派遣と人材紹介では、同じ人材ビジネスでもその内容は大きく異なります。明確な違いは、求職者と雇用契約を結ぶ相手がだれかという点です。
人材派遣では、登録者と派遣会社の間で雇用契約を結びます。そして雇用契約を結んだ派遣社員を、派遣先企業に派遣します。派遣社員の給与を支払うのは、人材派遣会社です。
人材紹介は、取引先企業と求職者が直接雇用契約を交わします。人材紹介の行うことは候補者を紹介するまでで、求職者と取引先企業が雇用契約を結んだ際に紹介手数料を得ます。
ほとんどの場合成功報酬型で、求職者の想定年収の30~35%が相場です。紹介者が採用されない限り利益はありませんが、人材派遣に比べて参入のハードルが低く、利益率が高いです。
人材紹介業を開業するのに必要な免許
人材紹介で起業するために必要な免許は、「職業紹介責任者」の資格です。職業紹介責任者講習の受講をすることで資格を取得できます。
個人名義で受講できることも、受講資格などがないのも、試験がないのも、人材紹介の起業に必要な「派遣元責任者講習」と同様です。
しかし有効期限が異なります。更新時期が来たら、忘れずに再受講しましょう。
有効期限 | |
---|---|
派遣元責任者講習 | 3年 |
職業紹介責任者講習 | 5年 |
人材紹介業の開業条件
人材紹介の開業条件は、人材派遣に比べてハードルが低いです。その理由は開業条件の資本金の額が、人材派遣業が2,000万円以上なのに対し、人材紹介は500万円以上で開業できるからです。
また転職や再就職の機会を増やせるように、人材紹介の事務所に関する条件が2017年に緩和されました。それまで人材派遣と同様に「おおむね20平方メートル以上」とされていた事務所の条件が撤廃されたのです。
人材紹介の開業条件については、【2021年最新版】1分でわかる!人材紹介の許認可取得方法!で詳しく紹介しています。
また人材紹介会社の設立や運営にあたっては、人材サービスを利用する手もあります。たとえばクラウドエージェントでは、開業について無料で相談でき、さらに社会保険労務士法人から資産基準をはじめとした申請に関するアドバイスを受けることもできます。
サービスの詳細を知りたい場合には、クラウドエージェントの資料を請求してみましょう。
免許取得の準備を進めよう
人材派遣に参入しようと思ったら、さまざまな要件を満たし必要書類を多数そろえる必要があります。派遣元責任者講習の受講もしなければなりません。
申請から審査や実地調査を得て許可が出るまでに、2~3カ月かかります。準備段階からだと半年近くかかります。開業予定時期が決まっているのなら、早めに準備を始めたり、効率的かつスピーディーに手続きを進めるため専門家を頼ったりするのもよいでしょう。
また準備段階で資本金や事務所の要件を満たすことが難しくなった場合には、同じ人材ビジネスの人材紹介を検討するのも一つの道です。
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